フルバ11話

ボクね、昨日クラス会があったんだあ
でね、ボクの友達が本を持ってきたの！
その友達は変なお話の本が好きで、このあいだも…

あ、ごめんね？

その友達が持ってきたのは「世界のバカな人たちのお話」って言う本なんだけどね、
その中のお話の一つに、「バカな旅人」ってお話があったんだあ。

バカな旅人は、バカだからいろんな人にだまされちゃうの。
子どもの薬代とか、妹の手術代とかなんとか言って、町中の人たちからお金や服をだましとられちゃうの。
でも、旅人はバカだからだまされたことに気づかないの。
町の人みんなに、「お幸せに」って言って去っていったの。

それで、すっかり旅人は素っ裸になっちゃって、しかたなく森の中を旅するの。
でも、森の中には魔物がいて、旅人を食べようとするの。
もちろん、旅人は足を一本、腕を一本とあげていって、ついには頭だけになるの。

最後に出会った魔物に、旅人は目をあげるんだけど、そのときに魔物が言ったの。

「こころやさしい旅人よ。お礼に贈り物をあげよう」

でも、それは「バカ」と書かれた一枚の紙切れだったの。

だけど、旅人は涙を流したの。

「ありがとう、ほんとにありがとう。」

「生まれて初めての贈り物だ。ありがとう。」

もう失くしたはずの目からぽろぽろ涙がこぼれたの。
そして旅人はそのまま死んでしまうの。

この話はこれでおしまい。

クラスのみんなは旅人の事を「バカだ」って笑ってた。

キョウもユキも、そう思う？



という紅葉の学校のお話でした