3.1煮詰まった






「夏純ちゃん、水嫌いなのにどうして競輪場は好きかなあ…?」
―優さん、それ競輪じゃなくて競艇よ、競艇
「私には全部同じに見えるよ…」
―なあに言ってるのよ優さん、全然違うわよ
「まあギャンブルはほどほどにね」
―私が負けないの知ってるでしょ、優さん
「勝ってるうちはいいけどねぇ…」
「…そんなもの」
―なあによーみんなしてー
「胴元が勝つようにできている」
「まあ気をつけるんだよ、夏純ちゃん」
―だーいじょーぶよー

手をひらひら振って別れた。あれはいつのことだったか。

―優さん、あたしやっぱり「悲しい」ってわからないみたい。くるさん殺された時も、やまさんころされた時も、優さんがボコボコにされた時も、殺し返してやるってしか思えなかった。

「夏純、もし君が悲しみを覚えたとして、人間で言うところの「涙」を流すとしよう。そのとき、君は目の回りを火傷するのかな?それとも感情の昂ぶりに任せて流れた途端に蒸発してしまうのかな?わからない。そもそもの前提が成り立たないとこの実験も成り立たない。実験というと君は怒るかも知れないがね。他意はない。どうか気にしないでくれ。僕の場合この「他意がない」のが問題だと言われるけどね」

―あたしよくこんなの覚えてるなあ…

大さんは話が長いから嫌い。嫌いっていうか…そう、めんどくさい。

でも…



涙って流したらどうなるんだろう?

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