ロウランの復興は苛烈を極めた。
街の大半を占めていた塔は壊され、あるいは龍脈を利用するパイプとされていたため、ほとんどが無用の長物と化していた。
だが、それを全て処理するとなると、とてつもない労力と時間がかかる。
ひとまずは龍脈なしでの生活をどう過ごすか、その方向性の論議から入った。

「私は、ここに残ると言った。皆もそう言った。」

「じゃあ…」

サクラと呼ばれた少女を遮って私は続けた。

「でも、ここはこんなです」

廃墟を見上げながら私は呟いた。

「…」

「私は母様の愛したロウランが大好きだった。皆もそうだった。でも、それでは誰も生きてはいけない。皆それが解っていた。だから、皆でもっともっと話し合ったんです。それ以外の方法を探そうって」

「龍脈の反動ね…」

「そう、人は一度浸かったぬるま湯からはなかなか抜け出せないものです。だから、私は決断しました。」

「ロウランを捨てると」

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索